夏になると思い出したかのように存在感をアピールしてくるのが、水虫です。
「忘れていたのに、足がかゆくなると、ああ、夏だなと思うよ」などと、ため息をついている人も少なくないようです。
最近はファッションの先取りで、9月や10月のまだ半袖の時期からブーツを履く人も多いことや、暖房が良く効いたオフィスなどに一日中いることなどから、足の中が蒸れて、夏だけではなく冬でも水虫になっている女性も少なくありません。

日本人の4~5人に1人が水虫だというほど、ありふれた病気です。
自分自身のためにも家族に感染させないためにも、きちんと治療することが大切です。

水虫の原因は白癬菌です

水虫は、カビ(真菌)の一種である白癬菌に感染して起こる皮膚病です。
皮膚の一番外側の角質層に白癬菌が侵入することで感染して、増殖すると発症しますが、角質層よりも奥に入り込むことはありません。

白癬菌は、15℃以上、湿度70%以上の環境で急速に増殖します。夏に水虫が多いのはこのためです。
外回りの営業マンなどで、夏場に革靴を1時間ほど履いて外を歩くと、靴の中の湿度は90%を超えます。
一日中靴を履いている営業マンに水虫が多いのも、もっともな話かもしれません。

しかし、白癬菌が角質層の中に入り込むまでは、足に付着してから約24時間かかります。
白癬菌が入り込まないためには、一日一回足を軽くなでるように洗うことで予防になります。

白癬菌を落とそうとゴシゴシと力を入れて洗ったり、ブラシやナイロンタオルで洗ったりすると、皮膚を傷つける原因になります。
傷がついている所には汚れが溜まりやすいように、傷がついている所には白癬菌も入り込みやすくなります。傷のある所では、12時間で白癬菌が入り込むと言われています。
傷をつけないように、せっけんをよく泡立てて優しく洗うのが理想的な洗い方です。
白癬菌の残りやすい指と指の間や指の付け根も丁寧に洗いましょう。

家庭内で感染する場合の感染源として多いのが、足ふきマットです。洗えるものは頻繁に洗ってしっかりと乾燥するまで干してください。

家族に水虫を移さないためには

水虫の人は、素足の方が足が乾燥しやすく治りも早いと言われていますが、家族がいる場合は、素足で家の中を歩くと白癬菌をまき散らすことになります。
家族が共同で使うリビングや廊下などでは、素足のまま歩きまわるのは止めましょう。
また、家族の人にもスリッパを履いてもらうなどして、白癬菌を足につけないようにしてもらいましょう。
そして、家族が共同で使うリビングや廊下は特に念入りに掃除機をかけたり、拭き掃除をするなども大切なことです。

治療は、数回外用薬を塗っただけでは良くなりません。かゆみなどの自覚症状は治まったとしても白癬菌はまだまだ生き残っています。
薬を塗り始めたら、最低でも1ヶ月は続けてください。古い角質が剥がれ落ちて、新しいきれいな角質層と入れ替わるには、約1ヶ月かかるからです。

また、目で見て水虫だと判る部分や自覚症状のある部分だけではなく、足全体に薬を塗ることも重要です。
これは、見た目は何ともなくて症状がなかったとしても、白癬菌が潜んでいる可能性があるからです。
これらの事に気をつけて、治療を行いましょう。

自覚症状の無い水虫がある?

水虫イコールかゆいと思っている人も多いようですが、実は、かゆみがあるのは全体の1割ほどで、かゆくない水虫も多々あります。

かゆみなどが強いのは、趾間型と呼ばれるタイプです。足の指と指の間の皮がふやけたり剥けたりします。
このタイプではかゆみが起きることが多いのですが、中には皮がむけるだけ、ふやけるだけ、かゆいというよりはムズムズするだけ、というケースもあります。

足の裏などに小さな水疱がポツポツとできる小水疱型と呼ばれるタイプでも、かゆみがないことがあります。
小水疱型の水虫とよく似ているのが、汗の塊である汗疱です。汗疱の場合は、強いかゆみがあります。

足の裏全体が厚く硬くなる角質増殖型と呼ばれるタイプも、かゆみがないことが大半です。
そのため、水虫だとは思わずに、単に足がカサカサになっただけとか、足の潤いがなくなってきてこのようになっているのだろうと思っている人も多いです。
知らず知らずのうちに、家族にも感染させてしまう危険性があるので、危ないタイプの隠れ水虫と言えます。

爪白癬は爪水虫とも言われていますが、白癬菌が爪に感染したタイプです。
爪が白く厚くなります。中には石のようになっている人もいます。
多くの場合は、趾間型や小水疱型など他のタイプの水虫に気がつかずに放置したことが原因で爪白癬となっています。
爪白癬は高齢者に多いのですが、爪の老化現象だろうと思っている人も少なくありません。

水虫の判断はつけづらい?

また、逆にかゆいから水虫だと思って市販の水虫の薬を塗ったら、症状が悪化したというケースも結構多いです。
足にかゆみがあるから、足の皮膚に異常があるからといって、必ずしも水虫とは限りません。

水虫と紛らわしい病気はたくさんあります。名医と呼ばれている皮膚科の専門医でも、肉眼で見ただけでは判断がつきません。
皮膚の一部を削り取って顕微鏡で白癬菌を確認しなければ、どんな名医であっても正確な診断はできません。

かゆいから水虫、かゆくないから水虫ではない、夏になると皮膚に異変が起きるから水虫だ、などと思うのは禁物です。
かゆくてもかゆくなくても、皮膚に異常がある時は素人判断をしないで、まずは皮膚科の専門医の診察を受けることが大切です。
それが自分自身のためだけでなく、家族への感染を防ぐことにつながります。

水虫は掻いても問題無い?

掻くのは禁物です。掻くと皮膚に傷がつきます。
既に述べたように、傷がない所では白癬菌が角質層に入り込むまでには24時間ほどの時間がかかりますが、傷がある所ではその約半分の12時間で角質層に入り込んでしまいます。
また、掃除の時も傷に入り込んだ汚れが落ちにくいように、傷に入り込んだ白癬菌もいつまでも残りやすくなります。

そこで、掻かなくても済むように、治療薬でかゆみをコントロールすることが大切です。
薬をきちんと塗っているのにかゆみが治まらない場合は、次のことをチェックしてみましょう。
塗り薬は最低でも1か月は塗り続けるのが理想的な治療ですが、良くなったからと言ってすぐに薬を塗るのを止めていませんか。

市販薬の場合、有効成分以外に匂いを良くする成分や使い心地を良くする清涼剤などの成分が含まれています。
中にはこれらの成分にかぶれてかゆみが起きていることもあります。市販薬は医師が処方した薬と比べると、いくらかかぶれやすい傾向があります。

市販の水虫の薬を使ってから余計にかゆくなったという場合は、それ以上の素人療法は禁物です。
水虫とよく似た皮膚病で強いかゆみが出るものは沢山あります。
市販薬を塗っていてもかゆい場合は、そもそも水虫ではない可能性も高いです。使っていた市販薬を持って、皮膚科専門医を受診してください。

医師が処方した塗り薬を使っているのにかゆみが治まらない場合は、塗る量が少なくないか、振り返ってみましょう。
足の指の間からかかとまで、足全体にむらなく塗ることが重要です。
目には見えない部分にも白癬菌が潜んでいることも多いので、患部だけではなく足全体にお薬をケチらないで塗ってください。
10g入りのチューブなら2~3週間で使い切るくらいのペースで塗るのが理想的な塗り方です。

グチュグチュした部分にまで外用薬を塗っていませんか。グチュグチュとしたところや皮膚が切れている所に薬を塗ると、かぶれてしまうことがあります。
水虫でかゆいのではなくかぶれてかゆいこともあります。

そして、むれるとかゆみが強くなる傾向があるので、靴下は通気性の良い綿やシルクを選ぶ、靴はできるだけ履く時間を短時間にする、毎日履き替えて良く乾燥させた靴を履くなどの対策が大切です。
女性の場合は、先の細いパンプスはNGです。指と指が重なり合うので、指が蒸れやすくなります。できれば、幅広の靴を選びましょう。